らいてぃん・とぅないと

主に眠れない夜に、筆は進む。

2020プロ野球考察(ロッテ)

◎補強と育成の融合
今年のロッテのオフは激動だった。FAで美馬、福田秀の二選手を獲得し、中継ぎ助っ人として日本での一定の実績がある二選手を獲得した。代わりに、大地選手や涌井選手など、よく名の知れた選手の放出も目立った。この入れ替わりが吉と出るか凶と出るか、それがどちらにせよ、さらなる育成が必要であるのは間違いないだろう。オフに出来るだけの事はしたので、あとは現存戦力の底上げである。
特に注目したいのが先発。美馬選手を獲得はしたが、それでもまだまだ伸び代しかない。去年はチーム最多勝が8(二人)だったのだが、優勝を目指す場合これに加えて10勝出来る投手を二人用意しなければならないだろう。となると美馬選手だけに任せっきりではいけない。有望な選手自体は多くいるはずなので、あとはきっちり育成出来るか。超有望株である朗希選手を着実にじっくり伸ばす為にも、先輩方が頑張る必要がある。

〇他のポジションについて
若手、ベテランがひしめく内野手にも要注目である。猛アピール中のルーキー福田光選手、長年務めたチームを去ってでも現役続行にこだわった鳥谷選手、高卒二年目にして早くも訪れた再就職からの再起をはかる西巻選手、そろそろ競合ドラ1として意地を見せたい平沢選手など、役者揃いであり、今後どうなっていくかを楽しみにしている。

2020プロ野球考察(広島)

まさか一ヶ月も勝利を見られないとは思ってもいなくて、少し野球の話をする元気が無かったのだが、復調してきたので再開する。今年はいつ開幕になるかわからないが、そういう時こそこの手の話で盛り上がりながら待ちたい。
巨人、西武、阪神ソフトバンク、中日、日本ハムと書いたので今回は広島。


◎去年書いた事を振り返って
去年の広島について「三番」「三塁」「先発の三番手」と三つの「三」がポイント、と書いたのは今でもよく覚えている。このうち先発の三番手については、怪我から復活した床田選手が良い感じに務めたが、三番と三塁に関しては今年も課題となりそうである。
まず三番。これは「三番より上の打順を務める人」も連帯責任というか、上が定まらないとなかなか上手くいかない。私は去年から「三番は西川選手がベスト」と思っていたのだが、去年は色々あって一番に回さざるを得なくなってしまった。今年はそうならないようにして欲しいところである。
次に三塁。今は怪我で離脱しているが、ピレラ選手が復帰したらどう起用するのだろうか。そもそも西川選手が三塁起用されなくなった理由が守備が苦手だからであるが、もし同じように三塁守備が不慣れなピレラ選手を無理に三塁で出場させてしまうと完全に本末転倒になってしまう。そこをよく考えて選定して欲しいところだ。私としては、そろそろ堂林選手の復活が見たい。

〇その他の気になるポジション
他には中継ぎに注目したい。去年前半はレグナルト選手が非常に良かったが、後半に調子を落としてしまいチームを去る事になった。またヘルウェグ選手も悪くない成績ながら出場機会に恵まれないまま退団してしまった。新外国人選手には少なくともこの二人の分の活躍が求められる。加えて、連覇に大きく貢献した代償で疲弊してしまった日本人の中継ぎ陣をいかに立て直せるか、ここも見ものである。

2020プロ野球考察(日本ハム)

◎ノーモア急転直下
去年の日本ハムは何と言うか、7月以前と8月以降で全く別のチームを見ているかのようだった。首位と僅差の状態から一気に最下位になるというのが現実に起こってしまうのは、プロ野球に限らず勝負事の難しさ、奥深さの表れだろうか。
今回は、今季日本ハムが取り組んで欲しいことについて、珍しくどこかのポジションに焦点を置くことなく記していく。

〇若いチームのあるある(と個人的に思っていること)
あるポジションに焦点を置いて、という形式を取らずに書く理由としては、伸ばすべきポジションがあるというよりチーム全体として何とかして欲しいことがあるから、といったところだろうか。
昨季の順位推移を見た時に、どことなく「2015年の横浜」に似ているように感じた。あの時の横浜は前半は好調を維持していたが交流戦から調子が狂った。昨季の日本ハムも、前半に好調を維持するも後半につまずく、という点で一致しており、また当時の横浜とのもうひとつの共通点として「チームが若い」ということも挙げられる。若いチームは好調時の勢いを誰にも止められない代わりに、不調に陥ると抜け出すのが極めて困難であるという傾向が見られる。去年の場合、様々な選手の先輩にあたる中田選手の不振(と故障)とともにチームの低迷が続いてしまった。
これを踏まえると、今日本ハムに必要なのは「中田選手以外のチームの精神的支柱」ではなかろうか、と私は思う。当然中田選手にはまだまだチームを引っ張ってもらいたいが、一人だけでは非常に荷が重いうえ安定感を欠きやすい。例えば西川選手や近藤選手などにこれを期待したい。日本ハムには有望株の若手選手が多くいるので、彼らがより良い成績を残せるようにする為にもこれはとても大事になるだろう。

2020プロ野球考察(中日)

◎昨季5位でも今季は…
昨季の中日は最終順位自体は下から2番目だったが、上のチームとの差は小さく、シーズンの後半において見せた潜在能力も相まって今季のダークホースになる可能性は大いにある。与田監督初年度の去年の特徴としては何といっても、本拠地が本拠地なので本塁打こそ少ないが特に打率の面で打撃が非常に強く、繋がった時の破壊力は凄まじいものがあった、というところだ。
それでもシーズン後半まで成績が伸び悩んだのは、やはり投手陣が中盤までなかなか確立出来なかったことに尽きるだろう。今回はこの中日投手陣について所感を述べていく。
〇一昨年よりは良し、それでもまだ伸び代多し
投手陣が課題なのは今年に限ったことでは無い。昨季が始まる前にも私は「投手陣、特に日本人先発を何とかして欲しい」と書いた覚えがある。去年は大野雄、柳両選手の活躍によりこの課題の半分が解決したのだが、まだあと半分が残っている。大野雄、柳両選手と助っ人ロメロ選手の次に勝利数が多いのが何とルーキー梅津選手の4という、これが「半分の残った課題」をわかりやすく示している。
これの解決は決して簡単では無いが、何より一昨年のシーズンにおけるかなり厳しい状況(防御率4.36、リーグ最下位)から数値にして0.6も改善出来ているので、あとひと踏ん張りだとも考えている。先発も中継ぎも再整備して、久々のAクラス、久々の優勝へと突き進んでいただきたい。

〇他のポジション
これに関しても去年書いた覚えがあるが、「投手の課題は捕手の課題」である。今年も捕手の切磋琢磨に期待したい。やることはなかなか多いが、中日が強くなるには間違いなく避けて通れない道である。去年大野雄選手が復活したように捕手にも復活して欲しい選手は沢山いる。また頭角を現した加藤選手もまだまだアピールを続けて欲しいところ。
また、ポジションとは異なるが、打線の組み方にも注目していきたい。防御側有利な本拠地だけに、より打点を稼げる組み方を見出せれば上位がぐっと近づく。

2020プロ野球考察(ソフトバンク)

◎日本一の球団にもある「忘れ物」
ソフトバンクは今、非常に良いチーム状態を保っており、まさに日本一の球団であると言えるが、それでもリーグ優勝と日本シリーズ優勝を兼ねるのが難しいというのが日本野球の面白いところというかレベルが高いところなのだろうか、と個人的には思っている。完全優勝を狙う常勝軍団の今年(と来年以降)のポイントを考えていく。
〇「日本一」とは異なる「リーグ優勝」の難しさ
ソフトバンクは昔は短期決戦より長期戦の方が得意だったイメージがある。実際にその時のスタメン一覧を眺めていると、メンバーのばらつきが非常に少ないのが見て取れる。少し打順などをいじる事はあっても大体同じ選手で回しており、長期戦を勝ち抜く為にはこのようにしたいところであろう。が、ここ数年は怪我人の多さに悩まされてなかなか出来ないのが現状である。今年も既に主力選手が何人も離脱している。これは球団関係者全員が考えなければならない問題で、どうして怪我が多発するのか迅速に究明する必要があるだろう。せっかく育て上げた選手が出られなくなってしまうのはとても惜しい。
今年は今のところ投手の怪我人が多いが、代役選手を立てるのはもちろん、登板数などにもしっかりと気を配っていただければと考える。良い選手は何度も起用したくなるところだが、将来の数年・十数年の事も考えて采配出来れば、より長い黄金期となって返ってくるはずなのだ。

〇他のポジション
一、三塁における内川、松田両選手の後継者として誰が出てくるかはかなり注目している。この二選手はソフトバンクだけでなく日本球界を長期間に渡って引っ張ってきており、故に越えるべきハードルはとても高い。大きな期待を背負うリチャード選手を代表とした若手選手陣は、時間をかけてでも良いので、少しずつ二人のレジェンドに近づいていただきたい。とにかく焦らないのが大事である。そもそも時間がかかって当然というレベルの最終目標であるから、焦って怪我だけはどうか避けて欲しい。

2020プロ野球考察(阪神)

◎長期戦を戦い抜ける投手陣
去年の阪神の終盤の追い上げは見事なもので、最終的にはCSFinalまで駒を進めた。長期に渡るシーズンで最後に笑う為には、終盤で誰かがバテたり怪我してもカバーしきれる投手力か野手力(?)が必要で、阪神にはそのレベルの投手力があったからこそ、CSの切符を掴む事が出来た。
今の阪神の課題は間違いなく「野手」である。ここで大事なのは「打線」ではなく「野手」ということ。本記事ではこの課題について書いていく。
〇「打線が課題」だと少し言葉足らず
阪神打線に課題があるのはその通りなのだが、守備の事を絶対に頭に入れておかなければならない。それゆえ「打線」ではなく「野手」が課題なのである。阪神野手陣は失策が多いだけでなく、記録に残らないエラーやミスもかなり多く、ただ打点や長打率が低いだけの場合より圧倒的に投手の負担が大きい。打撃力だけでなく守備力も向上しなければ、今年も投手が大変な思いをしてしまうので、ファンはまだしも少なくとも首脳陣はどうか「あとは打線…」という考えを捨てていただきたい。「あとは野手…」「あとは打線と守備…」が正解だと思う。
今の阪神の若手野手陣には、打撃と守備の双方を必ずセットでアピールしていただきたい。どちらかだけでは鳥谷選手(今年はいないが…)や福留選手に追いつけない。確実な世代交代の為の必須事項なので、大変なのは間違いないが頑張って欲しい。

〇他のポジション
ジョンソン、ドリス両選手が抜け、藤川選手や能見選手などの大ベテランが支えている中継ぎに注目したい。阪神の場合、どうしても外国人選手の比重を野手の方に置きたいところなので、二人の外国人中継ぎの穴埋めとベテランのカバーを出来る限り日本人のしかも若手で行う必要がある。
育成の為の土台は出来ていると思うので、あとは何人育成しきれるかである。

2020プロ野球考察(西武)

◎投打のバランスと短期決戦
投手・捕手・野手と主力がチームを去っても、一時期首位に大差をつけられても最後には巻き返して優勝、というのはなかなか出来る事ではなく、やはり時間をかけて作り上げた強力打線は伊達じゃないと強く感じた。最後の課題:日本一とその為のCS突破に必要なのが、現状なかなか向上に苦戦している投手力、というより投打のバランスである。短期決戦は投打ともに十分でなければ勝てない(これは忘れ得ぬ2014年の読売のCSにも言える、こちらは打力が不足していた)。本記事では西武の投手力向上に必要だと思うことを記していく。
防御率3点台と4点台の境界
実は2017年までは西武は投手がそこまで悪くなかった。少なくとも防御率が3点台ではあった。これが2018年に4点台になってしまったのは、間違いなく西武を支えてきた様々な投手の放出がほぼ毎年続いたのが原因だろう。「一人」ではなく「何人も」抜けているのがポイントで、これにより他選手で穴を埋めづらくなるだけでなく、後年に向けての育成にも影響を及ぼし、今の状態になってしまった。
こうなってくると、まず育成の前に土台作りが必要であるように感じる。その環境は去年から所属した内海選手や今年帰ってきた松坂選手などのベテラン投手陣やコーチ陣などが一丸となって築く必要がある。今年だけでは実現し得ないかもしれないが、少し時間をかけてでも頂上に登り詰める為に取り組んで欲しい。

○他のポジション
秋山選手の後釜は、西武の野手育成環境なら誰かしら出てくる気はするが、誰が出てくるかは気になる。不動の1番の代わりを務めるわけだから、そこを目指す選手には出塁率と盗塁にとことんこだわっていただきたい。
また、個人的には長らくチームを支えてきた中村選手の後継争いにも注目したい。レジェンドと言っても差し支えない選手からポジションを引き継ぐ事になり、一朝一夕では解決しないと思う。中村選手が元気なうちに「この選手なら」と思う人が出てきてくれると西武野手陣の未来がもっと明るくなるだろう。